いきなりですが、漫画感想。

山本英夫 「殺し屋1」5〜10巻

最近やっと最終巻の10巻を見つけてようやく読了。


過去のいじめに捕われて、そこからくる逃避行の果てに自らの凶暴性を他者へ向けるイチも
痛みが麻痺して、恐怖心を忘れてしまい死への絶望を夢見る垣原も
三つ子で産まれてしまったが故にその存在への依存と疎ましさに踊らされる二郎、三郎も
恐怖にかられながらも一端のやくざになりたくて鉄砲玉でいる金子も
興味の枠を越えて、人のトラウマを操り殺人マシーンにしたてて傍観しているじいさんも
いじめる奴もそれを助ける奴も哀れむ奴も見てみぬ振りする奴も全部含め


ようするに人間は暇人だといいたいわけだね。


まぁ人が人に興味を持たなければ人を好きになることも嫌いになることもないからな
憎悪も愛情も人が共存しあってこそ成り立つもんだ。
それができなければ妄想して一人の世界に入るしかないね。



山本直樹 「学校」


何気に古本あさってたら、100円で売っていたので思わず購入。
これが買って大正解!短編集なんだけどすごくおもしろい。


学校という四角い箱の中に入れられて、思春期特有の箱から漏れそうな位のもやもやとした感情が
いろんな角度で交差してるような複雑さをかもしだしつつ
実はただアホな会話と行為が入り乱れるだけなんじゃないかと思いながらもコマ割が楽しめる「学校」
この話の保健室の先生がすごく色っぽくてエロい
そんでもってギター少年の詩に爆笑、今の音楽業界ならこの詩で売れんじゃないの?笑


あと、詩人ペンギンの話が鳥好きの私にはとてもジンときた。
不能なペンギンを慕っているといいながら
結局詩人の知り合いの郵便屋さんとやってしまう女との同居生活の話なんだけど
SEXシーンとからませながら。ふと、空気も悪く夏の暑い外へ出てみようと
マスクをかけて外へでるペンギンのシーンがすごく切ない。
あとお風呂に一緒に入るシーンもいい。


山本の作品ってのエロシーンって、無意味といえば無意味なんだけど
そのむやみやたらな感じの空虚感というかどうしようもなさが実にリアル
短編だけど、なんというか全編通して「抜け出したいのに抜けられない空間」の中で
やることいえばSEXくらいしかないよなって感じが見受けられる。


ちなみに「青春劇場」がバカらしくて大好きです。


まだ他にも感想あるんですが、また今度