勝手に一人マンガ祭。


ここ最近読んだ漫画の感想を一気に。



徳弘正也 「狂四郎2030」13〜20巻


いやー読み終わった、最後は無理矢理感あったけど、これは最高の純愛漫画だと思う。
ヒロインユリカの陵辱シーンはかわいそうなくらいあったけど、だからこそ実物の狂四郎に会う葛藤がリアル。
特に17〜19巻あたりのユリカと狂四郎のお互いへの思いの強さと非力さはお見事。
愛する人の為に体を開き、片や殺人を繰り返し
お互いその罪の懺悔に苛まれても、会って触れれば迷いなど無くなる。
組織を潰す力がないなら、せめてたった一人の人間だけでも守り愛し通したい。
そう考えると最終巻はあの結末でも納得できるんじゃないかな。


最後の2、3巻で出てきた西城、結構ひどいことしてたけど一番人間くさくて嫌いになれなかったな。
境地に立たされた人間のほとんどは本来こうなんだと思う。狂四郎とユリカが異常なまでの精神力なんだよな。


それにしても中々揃わなくて読むのに時間かかったなー 汗



明智抄 「砂漠に吹く風」1,2巻


やっぱこの人、今も昔もただでは読ませないわ。汗


内容はクローン人間を扱ったSFなんだけど、なんかそのSFもどっか妙なんだよね。
話は結構重いテーマで、クローンも人の心をもつ以上は人間であって
クローンになる前の人間の記憶を背負って生きていくことは確かに耐えられない。
クローンはあくまでもクローンで、それはコピーされる度に記憶は持っていても成長過程は異なる。


心を持ってしまった以上は意思があるのだから自分の思うままに生きたいよな。


これ未完らしいからその後どうなるとかよくわからんけど
割烹着姿で風の力を使う美青年なんてミスマッチさは始末人シリーズの時から変わってませんな。笑


私はひげのおっさんオービンがお気に入りです。



喜国雅彦 「月光の囁き」2〜4巻


これ、いろんなとこで評判良くて是非読んでみたいと思って購入したら
一巻だけが絶版らしくて手に入らなかった 泣 それでも内容は充分把握できるけどね。


内容は高校生の捩れた恋愛。簡単に言えばSM。
ただ好き嫌い言いあってるだけの恋愛なら楽しいけど、そこに性癖が入ってくるとただではすまない。
自分の性癖を好きな娘に求める。それは勇気のいることで、場合によっては相手に嫌われかねない。
それでもその性癖はその娘にしか向けられないわけだ。他の誰かでいいってもんじゃない。
だからすごく純粋で素直。その思いはどうあれひたすら真っ直ぐに相手にぶつけていく姿は
読んでいてちっともやらしさを感じさせない。


主人公の性癖に葛藤し促させていくヒロインの心情がすごく丁寧で重厚。


ただ精神とSEXという繋がりではなく、それ以上の相手の存在。
その部分をコマ割りやベタ、白紙を使った間などが絶妙に効果があって魅せ方がすごく上手い。


なのでまんまSEXシーンなんかよりも、主人公とヒロインのやり取りの方が断然エロい。


つか、わしはこの主人公の言いたいことがわかるんだよねー汗
体と体の結合が、精神的なものを含めた互いを求める重点であるとは思わないし
自分以外の異性といる好きな人の、顔や感情すらも全部自分の物にしたくなる気持ちもわかる。


好きな人が怒って、暴言はいたり泣いたりと、中々人に見せられない部分を自分だけに見せたとしたら
それは自分だけが覗いてしまった秘密として、とても優越を感じる至上の快楽なんだろうなと思う。


あーやっぱわしMか。汗


絵柄も変に生々しくなく、中々余韻の残る作品。



駕籠真太郎 「大葬儀」


短編集。あーまたこういうぶっ飛んだ内容買っちまったぁ〜 泣


いや、それがおもいしろいんだよ 汗 絵も内容もアホなんだけどすごく凝ってる。
その性癖というかマニアというか、一筋縄では行かないグロい内容もあっさり流しているのがウケる。
人のどういう部分に興奮するかっていうのは、生きてく上で重要なことなのかもね。
それができなきゃ死んだ方がマシってか?欲求に命かけてるねぇ〜笑
だから登場人物は皆自分の欲求に正直で大真面目。
全員が全員自分の世界にこもった状態で話が進むから、誰しもが簡単に物のように死んでいく。


中でも「大酔狂」の後半のスピードを増す入り乱れ具合は最高。


でも今顔のアトピーのことも合って「遠目塚先生の優雅な愉しみ」は読んでて辛かった 泣
今のわしにはシャレになりません。汗


様は性癖の滑稽さを笑ってしまえということなのかしらん?
しかし、エロではないよな。こんなんでヌケる奴いたら怖いよ 汗


体の書き方が町田ひらくに似てる気がした。



最後は山本直樹で締め。


原作 一色伸幸 作画 山本直樹 「僕らはみんな生きている」1〜4巻


なつかしぃ〜これ、真田広之で映画になったよね?
内容は日本の営業マンがタルキスタンへ行って偽装結婚とかテロとかに巻き込まれる話。


山本の絵や内容が若い!
最近の山本の絵は益々現実味帯びてない感じだけど、この絵はとても肉感的で人間的
後、話の流れに「今回は本格ビジネス漫画で行くぜ!」とか「山本漫画はいつもこんなん」とか入れてるのが
あー時代だなぁ〜とか思った 笑


原作は違う人だけど、最後のテロに巻き込まれたあたりから山本節炸裂って感じでスピード感あってよかった。
あと、テロ組織に捕まった仲間取り戻すために、営業で取引しようという所がホントにビジネス漫画だったわ 笑


寿恵村真紀のウザさがこの漫画の救いなのもすげーな 笑



山本直樹 「夜の領域−山本直樹ホラー作品集成−」


ラスト、山本短編集。読みたかった「君といつまでも」が入っていたので購入。


内容、全部よかった。やっぱ山本は短編の方が浮遊感があっていい。
この夢が現実かわからない場面の展開は今も昔も変わらないな。
話のほとんどが淡々と流れるままに異常性を増して終わる感じのする中
「夏の思い出」だけがすごい生気溢れる迫力で狂気が剥き出しにされてる。
このバランスがまたいい。


どうでもいいけど、最近のになるにつれ男の書き方が段々といい加減に簡単になってるな。
女は益々繊細でしなやかなのに 汗


ってか、ホラーというまでのホラーではなかったような気がする。



しかし、こうやって書き出してみると、まともな漫画ってあまりないのね。
ほとんどがエログロでお子ちゃまには見せられないものばっかだわ 汗


次回、小説感想予定。
顔のアトピーのせいで引きこもりがちなので、漫画や小説がはかどるわ。