想い人への吐露

何をやっても、現ちゃんが頭から離れない。


正直、ここ何年かは現ちゃんは疎かレピッシュすらもまともに応援してなかった。
でも「上田現 死去」の文字を見て私の思考回路は止まり、頭の中は真っ白になった。


それからずっと現ちゃんの事を考えている。


仕事中もぼんやりして、結構大きな失敗を何度かしてしまった。
上司に注意されてる時も、頭の中には現ちゃんが居て
自分で思ってる以上に、私とって現ちゃんは特別だったのだと感じた。



私の青春の99%は上田現でできている。


中学二年の時、ふと目にした「めがねの日本」のPV。
その破壊力。画面いっぱいに音を表現してるかのような躍動感。
今まで感じたことのないワクワクした気分。


それがきっかけで私の十代はレピッシュ一色だった。


そして、レピッシュがでる番組やPVを見る度、
私の目はキーボーディスト件サックス担当の上田現ばかりを追うようになっていた。


サックス掲げて舞台の隅から隅まで走り、時に吹きながら床をダイビング
フロントマン以上に前にでて客を煽る。それでいてブレない演奏。
それまで楽器をもつ人は動かないで演奏を黙々とするもんだと思っていたのに、
現ちゃんは縦横無尽に軽快に、とにかく子供の様にじっとしていない。
テレビなんかはカメラが追うのもやっとだったと思う。


当時26才、嘘かホントか奇天烈な行動、でも博学。
やんちゃ坊主のような奔放な現ちゃんは、すでに見た目はおっさんで
でも、そんなおっさんの弾くピアノは静寂を呼ぶ繊細なやさしい音色。
歌は決してうまいわけではないけど、曲や詞を壊さないように大事に大事に、丁寧に歌う。


帽子も、派手な柄シャツも、サングラスも、ラバーソウルも
全部、丸ごとすべてが現ちゃんで、私はそんな現ちゃんに
お父さんになって欲しかった。
お兄ちゃんになって欲しかった。
弟に、友達に、恋人に、子供になって欲しかった。


すべての理想に現ちゃんは当て嵌まり
それは今でも健在で、「理想の人」と言わればすぐに頭に浮かぶのは現ちゃんだし
子供ができたら名前を「現」にして、ピアノを習わせたいと思っているほどだ。


「Love Song」のようにもの悲しく、「胡蝶の夢」のように妖しく、「タンポポ」のように淫靡で
「歌姫」のように力強く、「28才」のようにおかしみを加えて、「水溶性」のように透き通っていて
すべてが夢物語のような、儚さを秘めた詞の数々。


中でも、初ソロの「コリアンドル」に収録されてる「迷宮入り」は
自分に自信がなく、臆病で、すぐに人の顔色を伺う私の心を深く抉った。


『愛されたくて 嫌われる人』


どうしょうもない孤独感に苛まれた私は、初めて人の歌を聴いて泣いた。
と、同時にそれまでどう表現していいかわからなかった自分の気持ちを代弁してくれたような気がして
改めてレピッシュでの現ちゃん作品を思い浮かべ
私がどうしてこれほどまで現ちゃんに惹かれるかがわかった気がした。


だからどんなに周りに「上田現て誰?」「え〜、なんかおやじくさ〜い」と言われようが
現ちゃんの事に対しては強気だった。むしろ理解されないほうが、1人占めできてる気分になれた
むしろ半端に理解されても、腹が立つだけだった。


昔集めた雑誌の切り抜きは、引っ越す時も捨てられなくてすべて取ってある。
自分の卒業アルバムなんてのは、あっさり捨てることが出来るが、どうしてもこれだけは捨てられないのだ。
だって、「上田現」以上の十代の思い出なんてのは無いに等しいから。


そんな多感な時期に、レピッシュばかりを聴き、現ちゃんに狂ったように影響されて今に至る私は


今この現実が、やはり受け入れられないでいる。


レピッシュを脱退した時、すごくショックだったけど、
だからといって、脱退した後も現ちゃんはレピッシュを愛してるんだなって伝わってきたし
現ちゃんのサイトを見て、振り回されてんじゃないかと思うくらい、ファンを大事にしているのも
日記やブログを読んで、少しだけ垣間見える日常も
やっぱり、昔私が好きで堪らなかった現ちゃんだったんだもの。


これからもずっと私の理想は現ちゃんだ。


昔以上に、更に強気に私は言いつづける。


そして現ちゃんの作った数々の歌を聴いて、私は生きてきます。


ありがとう。