1800円、もれなく涙付き。
昨日リハビリも兼ねて映画行ってきました。
30分前に付いたので、時間つぶしに偶然見かけた閉店セールの服屋さんに入ったら
長Tが500円というあまりの安さに時間を忘れ物色。
気付けば上映開始5分前。慌てて会場に向かう。
上映ぎりぎりセーフ。ふぃ〜 冷汗
「パコと魔法の絵本」
これは、前作「嫌われ松子」をいとも簡単に超えました。
毎回映画観る度泣いてる私ですが、今回も後半泣きっぱなしでした。
ポケットティッシュ一個使い切り、ポップコーンが入っていた容器が見事ゴミ箱かわりになってました 汗
内容は、病院を舞台に。人を寄せ付けない性悪じじいの大貫が一日しか記憶を保てない少女パコと出会う話。
この監督の映画は、毎度ユーモアと感動のバランスがすばらしい。
ポップで鮮やかな映像に、徹底した過剰演技。
人間の負の部分を「なーんちゃって」とバカにしたようなおどけた悪ふざけ
いきなりでてくるCGで、現実とファンタジーを混乱させて
おもちゃ箱ひっくりかえして、ギャ―ギャ―騒ぎ立てる子供のように収集付かない賑やかさを見せ付け
観る者が怯んだとこにガツンと泣きの部分を持ってくる。
もう始まりから終わりまで、喜怒哀楽が一気にでてくるような止め処ない感情に最後ぐったり。
でも、なんか。すごく「愛しい」と強く思う。
ものすごく強く抱きしめて「いい子いい子」したくなる。
そんな映画だった。
キャスティングもすばらしく、一人一人の見せ場もちゃんとあって無駄な人物などいなく
土屋アンナの史上最強のツンデレ看護婦キャラ
とにかく迫力で勝負した恐妻看護婦、小池栄子
人情が隠し切れないヤクザの山内佳哉
情けないけど、正義感の強い消防員、劇団ひとり
かっこよさを一切取り払って、最後に吹っ切れた演技をしてた自殺願望者、妻夫木聡
おバカとやさしさで皆をまとめる医者の上川隆也
強烈なキャラの中、癒しさえ感じる押さえた演技の大貫の甥、加瀬亮
ストーリーテラーの阿部サダヲは、いつものはじけたテンションも今回ばかりは他の俳優に喰われてた。
そして私のお気に入り、渋い強面なイメージであった國村隼の、オカマのおっさん。
なにあの存在感は?なぜオカマキャラなのに場面を引き締たつんだ? 笑
つーか、オカマ嵌りすぎでなんの違和感も無い。いそうだもん、ああいうオカマのおっさん。
さすが大御所、演技の幅は広いっす 笑
で、役所広司。私、特に役所広司って注目してた俳優さんでもなければ、関心もなかったんだけど
この映画を全部観た後、間違いなく役所広司の演じた大貫が愛しくなる!!
特に後半、学芸会の大貫のかわいさったらない。
お茶目さたっぷりで真面目にカエル王子を演じていた役所広司の性悪じじいはすごくよかった。
パコはもう、ホントにかわいいの一言。
この子は一番、特に目立った演技も見せ場もないんだけど
不器用な大人達が浮き彫りにされればされるほどに、ただいるだけで透明感が際立ち
ただただもう天使の笑顔に懺悔したくなるばかり。
強烈な個性のぶつかり合いで皆が皆怪演。
そんなクドそうな演技が、きちんとエンターテイメントになっている。
今回は「松子」に比べて、チョイ出のゲストも少なめ。
ぺーとかパーとかユータローとか彦麻呂とか、そんなうるさくなかったのも良し。
パコが毎日読んでいる絵本「ガマ王子VSザリガニ魔人」を劇にしてパコに見せるその演技はまるで学芸会。
それをいい大人達が一生懸命真剣に演技する。
たった1人の少女に見せる為に、大げさでたどたどしい演技に、CGアニメを融合させて
大人でもワクワクしてしまう見せ場に圧巻されながら
大貫を筆頭に、皆の劇を観れば観るほど止め処なく涙が溢れ出てきて、感動の嵐だった。
映画観終わった後も思い出しては泣いていた。
ただ感動する話をそのまま見せられてもこんなに感情移入できないだろうと思う。
ブラックな冗談に馬鹿馬鹿しいと呆れれば呆れるほど、
ほんのちょっと見えた人の弱さや惨めさが、羨ましいほどのパコの無垢な姿がささる。
これは1800円出した甲斐があった映画だった。
残念なのは、これから観る「20世紀少年」や「ポニョ」が希薄になるだろうなという点。
間違いなく今年観た映画No.1だと思う。
激、お薦め。