妊婦と会った後、胎教に悪そうな映画を観る私。


「パフューム 〜ある人殺しの物語〜」


全部観た後、鼻が疲れた 汗
なんかの雑誌でこの映画のあらすじ読んだらおもしろそうだったので、観てきた。


予想を遥かに越える面白さだった。もう主役のベン・ウィショーにメロメロ。
内容は、天才的な嗅覚をもつ青年が、処女の体臭に魅せられてそれを香水にする為に殺人を繰り返す
と、大雑把に言ったら、ただのサイコサスペンスな感じで、処女が殺人鬼に追われるみたいな物語っぽいけど
これ、内容だけ聞いても実際観ないとどういう作品かはわからないと思う。
つまり、ある程度ネタばらしても映画を充分に楽しめる作品なんじゃなかろかな?


この主人公グルヌイユはとにかく鼻が利く。一度にいろんな匂いを吸っても、それを瞬時に嗅ぎ分ける才能がある。
しかも匂いに対して“良い悪い”の区別をしない。これはなんつーんだろ、まるで“善悪”を区別できないのに似てる。
つまり、素直というかひたむきというか。だからこそ、この彼の純粋無垢な部分が
映画の後半にあれほどのせつなさを感じるさせるのだろうな。


そして、顔の表情もほとんど変えないし、会話の抑揚もなければ言葉数も少ない。
だから彼の異常性が無自覚でいながらも、静寂で燃えることの無い緩やかな狂気に不快感を感じさせず
反対に、不思議と殺人者である彼の立場に味方すらしてしまうほど魅力的。


女性の体臭へ執着する理由が、ただ並外れた嗅覚を持ってるからというのは、単なるきっかけに過ぎなくて
その体臭から感じる人の体温、柔らかさ、処女の純潔全部ひっくるめて
「体臭を手に入れる」ということがどういうことを意味してるのかということが
愛されたことのない彼が知るわけも無いんだけども


だから、彼が最後にすべてを理解した時に、流した涙がすごく悲しい。


それに追い討ちをかけるように、彼は自分の犯した罪も許されてしまう。
それは彼自身が仕向けたこととはいえ、人として罪を罰せられないなんて、
人間にあるはずの体臭がない彼そのものを表すかのように、存在を「無」にされてるのも同然なんじゃないのかな。


私は、人が何らかの罪を犯した時に受ける罰というのは「人間である証」なのかなと思った。


そう、主人公には体臭が無い。それがスクリーンでホントに体臭無いように思えちゃうんだよね。
全編通して、「臭い」を視覚で訴えてるのが見事に表現されてるだけに
はっきり言ってすごく汚くてグロいです。特に始めの方。
そして、主人公が殺人を犯すまでの件が丁寧且スピーディー。
それに随所随所で「んなアホな」と突っ込みたくなる場面もあります。汗


あっという間に時間が過ぎて、観た後すごく嗅覚が鋭敏になった気持ちにさせてくれます。笑


なんにしても、今年初の映画はかなりのヒットで満足です。
ただ、途中音声切れて無声映画のようになっちゃたんだよね。字幕でよかた。汗
でも、お詫びに無料招待券くれました♪期限までに観たいのなかったら、またこれ観に行くかな?