寓話 「白ィ雪DEひめィ」

私は、ある場所に行こうと頼りない地図を握り締めて知らない街を歩いていた。
この街はよく雪が降るのだろう
積もった雪で足が取られ、うまく歩けない。
「これで降ってきたらやっかいだな」なんて思っていたら、早速雪がちらちらと降ってきた。
荒れる前に目的地に着かなくてはと、逸る足が絡まる雪を一層重くさせ
行けども行けども目的地は疎か目印になるものもみつからない。
次第に風景が雪に覆われ、あれよあれよと道しるべが白く霞んでいく。
私はフードを被り、目を細め、目に雪が入りこんでくるのを拒んだ。
ふと辺りを見回すと、真っ白な壁に遮られてるかのような
気配のない凶暴性をもった雪を前に私はただ立ち尽くした。


・・・私は、このまま目的地につかないで雪に飲まれていくのだろうか。
真っ白な世界の中で「どうせ飲まれるなら、雪じゃなくて酒に飲まれたかった」とぽつりつぶやき
そうだ、私まだお酒を解禁してないじゃないか。と思った。


どんなに辛い時や苦しい時があっても、おいしいお酒を飲む為に今まで私は耐えてきた。


本当はニートでいたいのに、家にお金がないから仕方なく職に就いて、その職がなぜか人に心を閉ざしてるのに接客業、来る客に愛想の欠けらもわけ与えない鉄仮面ぶりで、客の顔をきちんと見ている時に心の中で「あの女性客・・・昔見たシロウト物のAVに出てた女にそっくりだな。それ、チョコボールチョコボール」とロクな事を考えて無い。職場で一番年下なのに、年上を屁理屈という言葉の暴力で抑えつけ、顎で使い睨みをきかせ、皆がいうことを聞いてくれないと不貞腐れ仕事を放棄するような奴に100%見られてるのをわかった上で厚かましい態度を周囲に植え付けながらも、内心人を傷つけて嫌われることにびくびくし、日々神経すり減らしてる小心者の私は


それでも、自分なりに一生懸命ここまで生きてきたのだ。


すべてはお酒を飲むために。


お前、酒飲まなくても充分飲んだくれた状態の考えに近いぞとか
そんなことを人に思われる為に今までやってきたんじゃない
なにより、こんなことを考える為に知らない街に訪れたわけではないのだ。


行こう、目的地へ。


風が雪を操り、私にいたずらを仕掛ける。
被っていたフードが風で何度も捲れ、頬に雪が刺さり私の身体を冷やしていく。
雪を漕ぐ足に痛みを感じながら、それでも私は負けないで前に進む。
だって、歩くと心に決めたんだから。


しばらく黙々と歩いていると、風の弱まる感覚を感じたのでふと上を見上げる。
霞んでいた道しるべがやっと見えだしていた。


そして、その道しるべは、地図に書いてある通りの道を指していた。


ああ、目的地周辺に来れたじゃないか。もうすぐ着くんだ、目的地に着けるんだ。
私は、少し安堵の笑みを浮べ今までよりも軽やかな足取りで前に進むと


看板が見えてきた



あった!ホントにあった!間違いなくここは私の行きたかった場所ではないか!!
目的地に着けたうれしさを込み上げながら頬を蒸気させ、その目的の建物を眺め


「もう冬の日に知らない街を探索しようという無謀なことはしないぞ」


と、心に硬く誓ったのであった。


つーこって、すごく大変な思いをして何を見たかったのかというと

こういうのです。

〔写真は撮影許可もらってます〕


ここ、結構札幌では有名な「レトロスペース」というレトロなものを集めた私設資料館?で
前にタカトシ、ホトちゃんがやってる「このへんトラベラー」でも紹介されてました。
友達と前から行ってみたいねと言ってて、行く機会失ってたんだけど
今回グル魂以外に見たい催しモノがなかったから(でも近代美術館で5日から浮世絵展だった 泣)
思い切ってココに行ってみよう!と張り切っていざ行ってみたら、見事雪に遊ばれた 泣
いやー私、結構一回行った道はすぐ覚えられるくらい土地感あるんだけど
この場所はまた行けと言われたらいける自信が無い 汗
そのくらい雪の中をあてずっぽで探し当てた場所だった。


でも、展示はホントにおもしろいものばかりで、行った甲斐のある見応えだった。
(実際は写真のようなものばかりじゃなく、普通のレトログッズも展示してます。)


そんでこの隣はビスケット屋さんです。

こういうの売ってます。これは訳ありビスケット1袋100円で10袋買ったらもう1袋
サービスしてくれます。


せっかくなんでお土産にと大量買いしたんだけど、帰りのことを何も考えてなくて
店を出た後更なる地獄を味わう羽目になりました 死


なんか、雪は人のなんらかを麻痺させるね。


あ、そんでこれがレトロスペースまで行く為の「頼りない地図」です。

自作。これで行けたのはある意味奇跡 汗


でも、なんやかんやでライブも含め楽しい旅であった。うん、満足満足♪


以上、札幌遭難レポでした。おしまい。