あとの祭か、祭のあとか。


冷たい熱帯魚


これは・・・・・・これは凄まじいな 汗
夜中に観たんだけど、終わった後も頭ぐわんぐわんして全然眠れなかった。
観てから二週間経つんだけど、いろんな角度からいろいろ言いたい事ありすぎて全く感想がまとまらない 泣
しかもその間もう一度観てしまって、益々中てられてしまった 汗


内容は、実際の事件をデフォルメした、まさしく「ホントにあった、嘘みたいな残酷物話」で
過激で猥雑な、観る人を選ぶエログロハイテンション映像の連射がエグイくらい画面から溢れて出来て
強引に観る側を引きずり込み、巻き添えくらってしまった感覚に陥ってしまうパワーがあった。
(ちなみに実際の事件は「そーいやあったね」くらいの知識です)


けど、私が中てられてしまったのは
そんな残虐な内容と映像を凌駕していた、鬼気迫る役者陣の演技
いやぁ〜、もう息するのも忘れてしまうくらい、出演者の演技に圧倒されて画面に釘付け。


やっぱ再三言われてるでんでん演じる村田は圧巻の絶賛!!
「殺人鬼」というより「殺人おじさん」の村田。
いるよなー、声のでかさで物を言わそうとするおじさんて。
また、この声のでかさが人を殺してる時も、死体解体してる時も、日常と変わらないテンションを保っていて
ちょっと訛りのある、滑舌の悪いしゃべり方で下世話な冗談を声高々に言い放つ姿は
どうみても「その辺にいるおじさん」にしか見えない。


そんなおじさん村田が、人の死を祭り上げるかのように囃し立てる。


その命の軽さが、当たり前過ぎて恐ろしい。


投資者吉田が、ドリンク飲んで死んでいく場面での、村田の捲くし立ては見事だったな。
あそこでがっつり髪の毛掴まれて、一気に引っ張り込まれたもの。
このでんでん観ちゃったら、よく観る「冷酷非道な殺人鬼」って案外誰でも演じれんじゃないのか?って思ってしまう。
助演男優賞、おめでとうございます。


そして、村田と正反対の吹越さん演じる社本。
主体性の無い、臆病で気弱な社本の性格が、もどかしくてイラだちすら感じてしまう。
あまりにも主張が無く、存在感が薄い故に、気付けば社本側に立って状況打破を考えている。
「自分ならこうするだろう」と思いながらも、全く違う方向に行く社本に
「なにやってんだよ〜社本ぉ〜汗」と、緊張感とフラストレーションが堪りに堪っていったとこで


突然の逆転劇!
今まで溜めてたものをすべて放出するかのような殺戮と暴力で
ラストまで駆け抜けていく社本の壊れっぷりは、呆気にとられながらも爽快だった。
小心者の社本が、一気に凶暴化していく豹変ぶりは
沸点まで昇りきっておらず、繰状態な村田とまた一味違っていてすごくよかった。
しかし、壊れてからの吹越さんはぞくぞくするほど色気に溢れてたな。 惚


自信家で世話好き、下世話な冗談を愛嬌たっぷりに振り撒いてる村田はまさしく「開」
死体を捌いて開くのはもちろん、親に不信感を抱いてる社本の娘美津子の心を開き
家庭に不満を持つ社本の妻妙子の股を開き、融資に迷う吉田の財布を開かせ
裏切ろうとする筒井や、社本の褒美の為に妻愛子を使い、愛子の股を開かせる。


それに対して、社本はすべてが「縛」
家庭不和で、後妻の妙子と娘の美津子の間で縛られ
自分の本心を突く村田の言葉に縛られ
死体を解体する場面を目の当りにし、その恐怖心に縛られ
死体処理の手伝いをした罪の意識に縛られ、家族にも警察にも打ち明ける事ができず
どんどん犯罪に縛られていく


そんな社本の本性を、終盤村田が一気にこじ開けていく
堪りにたまった鬱憤と、最後まで守りたかった理性を愛子の股で締め付けられ
ギュウギュウに縛り付けられた社本は、心が破裂してしまったんだろう。


しかし、社本によって過去を蘇らせ、その過去と共に開放された村田に反し
社本は突発的に反撃したのも束の間、後戻りできない罪の重さと
結局暴力でしか妻子を押さえ付けることができなかった腑甲斐なさに
自分で自分の首を絞める結果になってしまった。
そういや「ミイラとりがミイラに」ってよくいうけど、
社本の場合は、村田に会う前からすでに雁字搦めのミイラ状態で身動きとれてなかったもんな。
そう考えたら、完全にミイラになるのを自分で断ち切ったんだから、まぁ落とし前はつけてるか。


村田は人殺しだったけど、とてもチャーミングで、最後まで愛嬌あるおじさんだったな。
だから「社本くん、それはちょっと痛い」からの村田のセリフが切なささえ感じてしまった。 泣
なんか、私も村田に取り込まれちゃったかしらん? 汗


それに対して、被害者であろう社本の責任感の無さがホントどうしようもない
社本は妙子と美津子の関係に見てみない振りをしながら
想像で親子の修復を夢見て、きちんと現実と向き合わなかった。
だから村田に痛いとこ突かれるし、歯向かう事も出来ない。
あげく、家族を暴力で押さえつけ、手を余した娘を捨て、妻を道連れにし心中した。


だって、社本は「愛してる」と妙子に伝え、きちんと謝罪もしてるけど
美津子には謝罪も愛情も伝えず「1人で生きろ」と突き放した。


最低な親父だよな。私は全く社本に同情しない。


最後に社本が美津子に言った言葉なんて、今更過ぎてちゃんちゃらおかしくて鼻で笑ってしまう
あんなこと、社本に言われるずっと前から、親に愛情を感じなかった美津子は充分感じてわかっていた事だと思う。
だから、死んだ社本に向けて言った言葉は、なんの意外性の無い当然の言動だと私は感じた。


でも、もしあれが、自分を選んでくれなかった父親に対しての愛の裏返しだとしたら
私から観て、それこそ救いようの無い悲しい結末になってしまう。


いや、充分救いようない話だけど 汗


いやーそれにしても、村田の妻、愛子演じる黒沢あすかがすごいぶっ飛んでて最高だったな。
ダダ漏れしたエロスと、一喝する凄味に反して、甘えた声と笑顔が可愛い過ぎて最強!
アマゾンガールズとのレズ遊びなんか官能を卓越していて、もう黒沢あすかの1人勝ち!!
私、中谷美紀みたいな崇高な感じ好きだけど、こういう女優さん(広田レオナとか)に弱いんだよなぁ〜 伏
・・・・・・自分に無い物を求めてんのかな? 汗


そういや「恋の罪」に出演していた神楽坂恵もでてたけど
冷たい熱帯魚」観ると「恋の罪」はすごいがんばってたんだなぁ〜と思う 笑
って、神楽坂恵って監督の奥さんだったんかいっ!? 汗


他にも悪徳弁護士渡辺哲や、娘の梶原ひかり、あと運転手役の諏訪太朗とキャストがとても魅力的だった。


目を背けたくなる人の下衆さや滑稽を戯弄し、エンターテイメントとして魅せていて
監督の真摯なサービス精神がよく伝わる作品だった。
園子温なら「ザ・ワールド・イズ・マイン」が撮れそうな気がする。
4月に観る予定の「ヒミズ」楽しみ〜


どうでもいいけど、私は死体解体シーンにグロさを全く感じませんでした。
あのくらいなら焼肉食べながら観れます。
(次の日に出た夕食のスペアリブも2本ぺロリでしたv)



そうだ!4月といえば「SPEC劇場版」もあるんだ〜♪
その前にTVのドラマSPだぜっ!テンション上がる〜!! 喜